それぞれの専門分野で熟練した看護技能や知識を
発揮して活躍する認定看護師

医療技術の高度化・専門化が進む医療現場において、看護師の業務は年々拡大し、求められる役割もますます大きくなっています。
こうしたことを背景に、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた認定看護師、専門看護師という資格認定制度が設けられています。
東京病院では、現在、5つの分野の認定看護師が活躍しています。

 

◆ 東京病院の認定看護師

認知症看護
成田智重子(2016年取得)
認知症看護認定看護師は、認知症患者の意思を尊重し、権利を擁護することをはじめとし発症から終末期までの各期に応じたケアの実践が求められています。
日本は超高齢化社会に突入し2025年には全人口の40%が高齢者になり、その頃には、約4人に1人が、90歳台では2人に1人が認知症になると言われています。
認知症とは「一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときにみられる」と定義されています。
身体の不調が加わることで、さらに症状が悪化したり、苦痛を伴うことがあります。特に入院生活では環境の変化や非日常的な状況が重なり、不安な思いをされる方も多いかと思います。それらの症状を少しでも軽減できるよう努めていきたいと思っています。また、退院後の生活を見据え、他職種と連携しながら必要な社会資源の活用について提案を行っています。スタッフに向けた勉強会を開催し、認知症看護の向上に努めています。

糖尿病看護
高松千織(2012年取得)
糖尿病看護では主に、療養相談・インスリン自己注射指導・自己血糖測定指導・フットケアを行っています。糖尿病患者の約90%を占める2型糖尿病は生活習慣に密接に関係しています。看護実践の場では、疾患だけに目を向けるのではなく、患者さんを「糖尿病とともに生きる生活者」と捉え支援しています。療養相談では「頑張っているのに血糖値がよくならない」といった患者さんの相談に乗り、生活に合わせた療養行動を一緒に考え、アドバイスをしています。フットケアでは、糖尿病であるがゆえに傷ができた際に治りにくい状態がある足に対し、フットケアの必要性はもちろん、患者さん自身が自分の足に関心を持ちケアできるよう指導を行っています。

当院では奇数月に糖尿病教室を開催し、様々なテーマで勉強会を行っています。そこでは講師も担当し、わかりやすく、生活の中ですぐに実践可能な内容をお話ししています。
糖尿病があってもその人らしく生活してほしい、そのような思いを持ち日々療養指導に携わっています。

がん性疼痛看護
阿部潤子(2013年取得)
がん性疼痛看護認定看護師は、がんによる全人的苦痛の総合的評価を行い、薬物療法的・非薬物療法的を用いて苦痛緩和に努めています。また患者に合った薬剤が適切に安全に投与できるように患者・家族・スタッフへ指導しています。現在は、病棟勤務をしながら月1回がん領域の認定看護師とともに院内ラウンドを実施しています。またコンサルテーションがあった際には介入し、苦痛緩和を行っています。

がん性疼痛と聞くと体の痛みばかりを考えてしまいますが、疼痛コントロールがうまくいかない患者さんや副作用症状に困惑している患者さんだけでなく、がんという病気を受け入れられない、今後の治療方針に対する不安がある、社会復帰に向けての葛藤がある患者さんとその家族など、様々な苦痛を抱える方がいらっしゃいます。患者さんを身体的だけでなく、社会的、精神的、スピリチュアル的苦痛の4側面で捉えていくことがとても重要です。

また、スタッフががん看護により興味が持てるような関わり方を日々心がけています。

がん化学療法看護
柳澤 史乃(2009年取得)
がん化学療法看護の分野では、がんの患者さんや家族に対して意思決定の援助や不安の軽減、化学療法副作用コントロールを主に行っています。

がんの告知を受けた患者さんや家族が受ける衝撃はとても大きく、病状を受け入れることが困難な方もいます。また、治療を開始しても継続する中でストレスや不安を感じる方もいます。そのような場合に、共に考え、患者や家族の望む生活・治療が行えるように援助することが私たちの役割です。がんの治療は多くの場合長期間にわたるので、治療を継続しながらも“その人らしく”生活ができるように援助したいと考えています。

認定看護師として、当院のがん化学療法に携わるすべてのスタッフが安全に業務できるようにすることも、重要な役割の一つです。ガイドラインに沿った当院なりの曝露防止対策ができるように、院内のマニュアルを整備し、スタッフにむけた勉強会を企画しています。

がん化学療法は日に日に進歩しており、月単位で新しい薬剤や治療法が承認されています。そのような日々新しくなる知識や技術を身につけ、それを自分だけに留めず、院内全体に広めていきたいです。

感染管理
藤田若葉(2009年取得)
感染管理認定看護師の役割は、病院内に限定されず、医療の現場で働くあらゆる人と患者さん、そのご家族に対して、医療関連感染の予防と対策を実践することです。実際には、感染対策チーム(ICT)の一員として他職種と協働して感染対策にあたります。実働的役割を担うICT が、より良質の医療関連感染予防・対策の実践するために、感染管理認定看護師は各専門職種との調整役として、患者さんの療養生活の支援や診療の介助に至るまで、幅広く携わる看護師の役割を活かしたチームのキーパーソンとしての活躍が求められます。

具体的には、医療関連感染マニュアルの整備や療養環境を整えるためのファシリティマネジメントの実施、医療関連感染サーベイランスから得られた感染に関するデータ分析、フィードバックおよびケアの改善を通した感染率の低減を目指しています。これからも多種多様な部門や人々との連携を図り、より良い安全な医療の提供に向けて活動したいと考えています。